土曜日に行われたバイエルンVSホッフェンハイムでホッフェンハイムのFWカイ・ヘルドリング(29)が大きな仕事をやってのけた。2-3とリードされて60分に投入されると75分のフェルミーノの同点ゴールをアシスト。バイエルンの19連勝を止めるドローに持ち込んだ。
バイエルンにとっては既に優勝を決めての消化試合であり、チャンピオンズリーグ準々決勝が控えるため一部主力を温存して迎えた試合であった。だがホッフェンハイムにとっては絶対王者バイエルンを相手にどれだけやれるか自分達の力を試す絶好の機会であった。全力で立ち向かい何とか勝ち点をもぎ取れれば…こうして迎えた一戦。
2002年に18歳でホッフェンハイムに入団、セミプロとしてのキャリアをスタートさせたヘルドリング。
当時ホッフェンハイムは4部リーグに所属していたセミプロのチームであり、ヘルドリングの主戦場は更にその下ホッヘンハイムBの所属する5部リーグであった。
その後、大企業SAPの創業者ホップにの支援によりホッフェンハイムは5年間で1部まで駆け上がったが、その中でヘルドリングの主戦場は相変わらずホッフェンハイムB(4部に昇格)であり、24歳で2部の試合に1試合出場したものの凡庸なキャリアを過ごしていた。
だが、2013年4月に監督に就任したマルクス・ギスドルとの出会いがヘルドリングの運命を大きく変えた。キャンプでトップチームに帯同する機会を得たヘルドリングは、常に全力で練習に取り組む姿勢や、控えでもチームのために尽くすパーソナリティがギスドルの目に留まりトップチームでプレーする機会を得た。
2013-2014シーズン、出場機会を得たヘルドリングはハノーファー戦でブンデスリーガ初ゴールを決めるとブレーメン戦では度肝を抜くミドルでドイツ中に名を知らしめた。
そして迎えたバイエルン戦、指揮官の期待に応える同点アシスト。その人柄やサポーターからの絶大な人気を誇る”カイ”をチームを支える屋台骨としても高く評価するホッフェンハイム首脳陣はヘルドリングに対して2016年までの契約延長を決めた。
ホッフェンハイムには3部時代からチームの主力であるボスニア・ヘルツェゴビナ代表サリホビッチ、在籍6年目でキャプテンを務めるドイツ代表ベックも居るが、カイ・ヘルドリングは”ミスター・ホッフェンハイム”と呼ぶに相応しい選手である事に異論はないだろう。
万年Bチームでも、毎試合ベンチでも、ひたすら真面目に日々上達への努力を続けた29歳の男に巡って来た人生を変える出会い。
そして巡って来たチャンスを見事につかみ取った。
18歳の時点では凡庸なプレーヤの一人であり5部のアマチュアでプレー、20代もその殆どのキャリアは4部以下で過ごしてきた。そんな男が29歳を迎えた今、ブンデスリーガ1部で躍動している。
これだからサッカー界は面白い。
これからも彼の更なる活躍に期待しよう。
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